ウナコーダ

調律よもやま話し1

2006年8月18日 糸魚川出身のピアニスト田村淳一さんが主宰する「ファイナークランツコンサート」が19日に青海町きららホールで開催されるため、調律に出向きました。
年4回、田村さんが教えている生徒さん(とはいってもみなさんピアノ教師をやられている方が多いようですが)の成果発表の場です。

おかげさまで、毎回調律を担当させていただいています。
毎回開催日の前日に調律に入り、田村さんからチェックをいただくようになっています。
何度となくきららのピアノを調律をさせていただきますが、ピアノはそのつど変化していますね。ホールのピアノだからと安心しているといけません。

機種はスタインウエイD型、納入にはいろいろな経緯があったのですが、スタインウエイ系列のお店から納入されたのではなく、某大手デパート経由の平行輸入ピアノです。ホールに入るコンサートピアノとしては、非常に珍しいケースではありました。
私が一時お世話になった松尾楽器商会は、その当時のスタインウエイ総代理店で、日本に入ったスタインウエイをさらに精度を高く再調整して出荷していました。
まあ輸入車のように日本仕様にするといった感覚でしょうか。
どうしても輸送や気候の変化で大きくピアノの状態が変化しているため当然ではありますが・・・。
このピアノはその再調整がされていないピアノですね。 逆に再調整前の状態が垣間見れて新鮮です。

きららホールのスタインウエイはそういう意味ではその経緯を通っていないので珍しいといえます。

さて、前回は当方が7月に調律後少しインターバルがあいています。
その間に別の方が2回ほど調律されていましたが。

調律と整調を確認したところで、田村さんがこられました。

試弾後、ウナコーダがいつもより重いというご指摘。
チェックしてみると確かにいつもよりも抵抗が増してスムーズではない感じがします。
まずは、ベッティングスクリューを確認。若干浮いている部分を発見。全体が均一におさと密着していないようだ。
ベッティング調整の上ペダルの抵抗感を確認。いつもの状態に近くなった。引っかかる感覚も取れたようだ。
もともと、ウナコーダは重めの傾向にあるピアノなのでさらにベッティングスクリューのボタン磨きと、棚板面のスクリュー設置面を確認、ペダル軸関係のピンの磨きなど外的要因をチェック。

田村さんにチェックいただき、いつもの感覚に戻ったことでOKをいただいた。
ほかに特に指摘事項もなく、OKをいただいたので明日のコンサートの成功をご祈念してお別れした。

コンサート調律の場合、特に弾き手がピアニストとなると、 ほんの微妙なピアノの変化にも敏感だ。
ましてや、定期的に触れているピアノなのでその感覚がすでにインプットされているのであろう。

そういう意味でも、特にホールのように一定の管理体制にあるピアノだからこそ、
調律師はピアノの微妙な変化を見逃さないようにしなくてはいけない。
今回の件は緊張感を高めてくれたとてもよい経験であった。

弾き手がそのピアノの魅力を最大限引き出せるように、常に神経を集中してピアノの状態をチェックし毎回の調律に向かうことを自答した。

ついでに、ホールのピアノの保守点検状態である。
有資格者(コンサートピアノを調整できる能力を有する技術者)がきちんと保守点検を実施しているかは非常に重要だ。
あまりにひどい調整をしているケースも見受けられる。

調律依頼によりホール調律にでむく。
時に基本的調整の精度が悪すぎ、まずはそこからスタートしなくてはならないケースが近々で2回ほどあった。
調査してみると、コンサートピアノ調律の技術を有しない技術者が保守点検を実施していた。
契約の中で責任をもって行われることだから、だれが調整しようがかまわないが、それならばきちんとした調整をしてほしい。
調律のたびに、基本整調をやり直さなくてはいけないような事態は非常に問題である。
責任体制はだれにあるのか、もし依頼のあった調律の時間が短く、最低限の調整時間しか取れない場合など、基盤となるピアノの状態は非常に重要だ。そのとき担当した調律師と演奏者の信頼関係が揺らぐことにもなりかねない。

演奏者との信頼関係をきちんと確保するためにも、再度信頼なる保守点検をお願いしたい。

今回の場合、当方の見解を先方の楽器店にお伝えした。
そうすることがお互いに、調律師の尊厳を守ることになるからだ。

逆に当方もそういう事態を引き起こさないよう常に最良の仕事をするべく気を引き締めた。

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